最初は上手じゃない子も多いもの。赤ちゃんの飲み方を知ってアシストしてあげよう【助産師が解説】

できれば母乳で育てたいと思っても、最初のうちはママも赤ちゃんも授乳に不慣れなため、思うように母乳を飲ませられないということは少なくありません。そして、赤ちゃんによっては、最初は上手に飲むことが難しい子もいます。赤ちゃんが上手に母乳を飲めるように、どのようにアシストしてあげればいいのか、助産師の榎本美紀さんに教えてもらいました。

初めておっぱいを飲む赤ちゃんの飲み方。どんな子が多い?

赤ちゃんがおっぱいを飲むのは、原始反射という本能的に持っている反射によるものです。唇や唇の周りに乳首などが触れると、口を開けて口で何かを探すような動作(口唇探索反射)がみられます。

そして、口に入ってきたものを吸う吸啜(きゅうてつ)反射により、赤ちゃんは生まれながらにして母乳・ミルクを飲むことができます。赤ちゃんの舌の中央に乳頭の先が当たると反射で吸い始めます。ママが指を入れるとちゅうちゅうと吸うのはこの反射です。

また、赤ちゃんは、大きく開口して飲む能力を生まれながらに持っています。ただし、赤ちゃんの最大限の開口よりもママの乳頭が大きい場合には、浅い吸い方になったり、くわえられなかったりすることがあります。授乳時に正しい姿勢にする(ママと赤ちゃんのおへそが向かい合うように身体を密着させる、赤ちゃんの顎が乳房に深く沈むようにするなど)ことで、深いラッチオン(赤ちゃんがおっぱいを含むこと)をすることができます。ラッチオンは母乳育児を軌道にのせるうえでとても大切です。

上手にラッチオンをするための手順はのちほど説明します。

そして、生まれた週数や体重、身体機能などにより個人差はありますが、飲む力が弱い赤ちゃんもいますし、乳頭をくわえただけで吸わずに眠ってしまう赤ちゃんもいます。

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成長・発達とともにどんな風に変化していくの?

おっぱいを飲む赤ちゃん1

新生児期は胃が小さいため、赤ちゃんは1回にたくさんの量を飲めず、母乳メインの方ですと授乳は1日10~14回以上になることもあります。母乳は赤ちゃんが吸う刺激によって分泌が促進されるので、ママは少し大変ですが、この時期は授乳間隔を気にせずに、赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけおっぱいを飲ませましょう。

1ヵ月ごろになると、1回に飲める量が多くなり、赤ちゃんによっては授乳間隔が空いてくることもあります。2ヵ月ごろになると、ママも赤ちゃんも授乳のペースがつかめていき、満腹中枢も確立して1回量が安定してきます。母乳育児が軌道に乗ってきたことを実感できるママが多いでしょう。

ママにストレスや疲労がたまると、母乳の分泌に影響するのではと、心配される方もいますが、明らかに母乳の分泌が減るということはありません。しかし、乳頭の詰まりや白斑などのおっぱいのトラブルの元になることはあります。リラックスして過ごしたり、赤ちゃんと一緒のタイミングで睡眠を取ったりするなど、意識して体を休ませることは大切です。

授乳が頻回だったり、思うように母乳を飲ませることができなかったりすると、悩むこともあるかと思います。そんなときは抱え込まずに、母乳外来や助産師院で、ママのおっぱいの状態、飲ませ方や授乳姿勢、赤ちゃんの飲み方などをトータルで相談してみてください。

少しでも上手に飲めるように、ママやパパがアシストできること

おっぱいを飲む赤ちゃん2

赤ちゃんが乳輪部まで深くくわえられるようにする

赤ちゃんがおっぱいを含むことを「ラッチオン」と言います。母乳は赤ちゃんに吸われる刺激によって出るようになりますが、そのためにはママの乳首だけでなく、哺乳瓶での授乳をする時も、乳輪部まで深く含む、正しいラッチオンができるように心がけましょう。

ラッチオンの手順

1.姿勢を正しくして赤ちゃんと密着する
赤ちゃんのからだ全体がママのおっぱいと平行に向かい合うようにして、頭、首、背筋、腰までが一直線になっているか確認。ママは前かがみにならないよう注意します。赤ちゃんとママのおへそとおへそを合わせて、ピッタリくっつくようにしましょう。哺乳びんで飲ませる場合も、赤ちゃんの背中を少し起こして体がねじれないようにします。

2.赤ちゃんの口を開かせる
ママの乳首と赤ちゃんの鼻の高さを同じぐらいにして、乳首を見上げるような位置に合わせます。赤ちゃんの顎をおっぱいに沈めて下唇を乳輪の縁に当てたり、こすったりするようにして、反射で口を開かせます。哺乳びんの場合は、哺乳びんの先で、上唇をちょんちょんと刺激して、赤ちゃんが開口してから人工乳首を入れるようにしてください。眠っているときや、口を閉じているところに突っ込むようにするのは避けましょう。眠っていても、人工乳首を口に突っ込まれて舌の真ん中に当たると反射で吸い出します。しかし、そのように突っ込まれることに慣れると、あまり大きく開口してくれなくなることがあります。

3.乳輪が口に入るように深くくわえさせる
赤ちゃんが口を開けたら、顎を支点に乳輪・乳頭にかぶせるようにします。ママがおっぱいを赤ちゃんの口に突っ込むのではなく、赤ちゃんをママのおっぱいに引き寄せます。赤ちゃんの唇が外側に向かって開く、いわゆるアヒル口になって吸いつけているか、赤ちゃんの鼻がおっぱいにくっついていないかチェックしましょう。

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パパが授乳姿勢をチェックする

正しい姿勢で授乳できているかどうかを、ママ自身がチェックするのはなかなか難しいもの。そんなときはパパにチェックしてもらうのもおすすめです。授乳中のママの体勢がつらそうではないか(足が床についていない、つま先立ちをしているなど)をチェックして、授乳する場所を一緒に検討してみましょう。授乳クッションだけでなく、小さなクッションやタオル、布団なども使って、体勢を整えていきましょう。

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まとめ

初めはうまくいかなくても、だんだん上手に授乳できるようになっていきます。正しい授乳のポジショニングは、赤ちゃんがたくさん母乳を飲めるだけでなく、浅い吸着によっておこる乳頭痛などを予防することができますよ。ママだけでなく、パパや家族と協力しながら、みんなで赤ちゃんの飲み方をアシストしていってくださいね。

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【プロフィール】

榎本美紀さん

榎本美紀
2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、地域の母乳育児を支援している。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたる。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受け付けている。自身も一児の母として子育てに奮闘中。
「みき母乳相談室」

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